UNIVERSITY OF TOKYO HOCKEY TEAM
東京大学運動会ホッケー部
Est. 1925
2019-11-14
Be the Ones
白川 遼
状況がすぐには飲み込めなかったが、とんでもないことをしてしまったことだけはわかった。
自分が2回目のSOも外した瞬間、チームが負けた。
自分の至らなさ、情けなさを感じる場面なんてシーズンを通して数え切れないほどあったけど、先日の駿河戦ほど仲間に対する申し訳なさを感じたことはない。
チームスポーツとしての性質上、誰のせいで負けたなんて一概に言えないことはわかっている。だが、少なくともあのGKとの1v1というプレーついては、責任から逃れることなどできない。
チームを勝たせる選手を目指してきたつもりが、チームを負けさせる選手になってしまった。
副将になり、SOのメンバーにも選ばれた責任を果たせず、仲間の信頼を裏切ってしまった。
二日間のオフを挟んで、なんとか気持ちを作って臨んだ水曜日の練習。
プレー中に受けるチームメイトからの指摘が全て、「だからお前のせいで負けるんだよ」という攻撃として聞こえ、その度に胸がカッターナイフで切り刻まれていくように痛んだ。
家に帰ってストレッチをしながら、もう部活なんて行きたくない、同期と顔を合わせることなどできないと、4年目のラスト1ヶ月にして本気で思った。
勝利に対する責任など負いたくないし負う資格もない、自分なしで勝てるならそれでいいと。
ストレッチが終わっていつものようにスマホをいじり、何気なくブログを開いたら更新されていたので読むことにした。
成田が4年生にご飯を奢ってもらった思い出について書くらしい。
3番目に自分の縦割りでお好み焼きを食べに行った会が登場した。
そこには、駒場でよく遭遇しお世話になった白川さんには、「感謝してもしきれません」と書いてあった。
それを読んだ瞬間、まるで何かから解き放たれるように涙が溢れてきた。
最初はなぜ泣いているのか訳がわからなかった。
たぶん、あと一歩のところでチームの勝利をふいにしてしまった自分という存在を認めるに留まらず、感謝の気持ちまでをも伝えてくれる部員のいることがたまらなく嬉しかったのだと思う。
それと同時に、駒場で積み重ねてきた努力がどんどん思い出されて、一時間以上涙が止まらなかった。
こんなところで立ち止まるわけにはいかない。
チームを勝利に導いて、ともに頑張ってきた仲間と自分自身に報いたいと、強く思った。
むろん自分が犯した罪、そしてチームの敗北は、決して消し去ることなどできない。
ダイジェスト動画には自分史上最も注目された姿で外す瞬間が映されているし、記憶にも記録にも残っていくのだろう。
だが同時に、チームとともに地道な努力を重ねてきたこともまた、霞むことのない事実だ。萌さんは強いので過去を振り返らないらしいが、僕はこれを確認することでまた前を向けた。
幸いなことに、目の前にはBullions2019として掲げてきた目標を達成するチャンスが、今一度転がっている。
この一年間やってきたように、しっかりできたことは評価して継続し、改善できるところは妥協せずに修正する。
失敗をしたから遠慮するのではなく、むしろ取り返す勢いで周りを巻き込み、自分が勝利に導くんだという気概で一瞬一瞬を過ごす。
全員で、自分こそが勝利の立役者なのだと胸を張って言えるように、最高の準備をして週末の試合に臨みましょう。
勝つぞ!