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2019-06-19

鏡に映るのは

白川 遼

「史上最高の選手になれたかはわからない。でも、朝起きて鏡に映る姿を見つめると、自分のなれる限り最高の選手になったとは思うね。」

駒場に来てくれたホッケー界のレジェンド、ジェイミー・ドワイヤーの話の中で一番印象に残っている言葉だ。
世界の頂点に立った人間の表情は、自信に満ち溢れていた。



春の一部での戦いは、本当に素晴らしいものだったと思う。
一人ひとりの努力が統一された意識のもとで掛け合わさって、気づけば始動時からは想像できないようなチームに成長していた。
そして5月25日、ついに駿河台相手に今季初の勝利を挙げた。


こんなに強いチームになれるとは正直思っていなかった。

こんなに多くの二年生がメンバー争いに絡むとは思わなかった。
先輩から下手だと言われ続けた三年生が、こんなにも頼れる存在になるとは考えられなかった。
そして何より、入部当初からピッチ外ではバカ話しかしてこなかった同期が、ここまでホッケーに対して本気になれる人たちだと思っていなかった。

今までとにかく成長して周りの人を驚かせようと頑張ってきた自分が、こんなにも他人の頑張りや成長に心動かされるのは初めてで、改めて副将としてチーム全体を見渡す立場を任せてもらえて感謝している。


でも、駿河台の結果を以て、満足したわけでは全くない。
このチームはまだまだ強くなれると感じるからだ。
冬からここまで成長できたのなら、秋までにどれだけ強くなれるだろうとワクワクする。

入れ替え戦で争う一部の舞台は、自分たちの実力や取り組みを映し出してくれる最高の鏡だと思う。
駿河戦の勝利に運が多少働いていたのは否定しないが、それは決してまぐれなどではなく、自分たちがたぐり寄せたものだ。
また、自分は怪我や体調不良で満足に練習できないまま春リーグに臨み、順位決定戦では全く調子が出なかったが、これも当然の報いだと感じている。

個人としてもチームとしても最高の準備をして、より強くなった自分たちの力を一部で試したい。
そのためには、必ず来たる入替戦に勝たねばならない。

相手も自分たちと同じ想いを持って日吉にやってくるだろう。
入れ替え戦は気持ちの勝負になるとよく言われるが、自分たちの想いがより強いことを証明しなければならない。
そのためにあと二週間、全員でやれることは全てやり尽くそう。

「史上最強のチームだったかはわからない。でも、自分たちがなれる限り最高のチームにはなったと思うね。」

来年そう自信を持って言うための第一歩だ。

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