UNIVERSITY OF TOKYO HOCKEY TEAM
東京大学運動会ホッケー部
Est. 1925
2019-11-08
気づくのに時間がかかったけど
篠原 萌
直近のリーグ戦の結果は、2試合連続で引き分けだった。
駿河台戦はSOになり、4-5で敗けた。
2試合とも、東大がリードする展開が続いて、最後の最後で追いつかれるという内容だった。
駿河台にSOで負けた後、見にきてくださったOBさんは褒めてくださった。
「東大に勝って駿河台があんなに喜んでいる姿を見れるなんて。」
東農戦の後に私が感じた気持ちと同じだった。
ほんの2、3年前まで、一部昇格するために血の滲むような努力をしていた東大ホッケー部が、今は一部で戦って、食らいついて、互角の試合を展開しているのだ。そのこと自体が純粋にすごいと思った。秋の開幕2試合は大差で負けていて、一部で秋戦うことの難しさを改めて感じていた中で、東農戦は大健闘だったと思った。もちろん勝ちたかったし悔しかったけど、誰もが東大の勝利を確信していたあの瞬間に立ち会えたことが嬉しかったし、チームが今までやってきたことが間違いではないとわかってほっとした。
でも、駿河台戦の後はその言葉を聞いて、自然と涙が出た。
2週間前に思ったことと確かに同じだったけど、全く嬉しくない。互角の試合ができたことなんて嬉しくなかった。とにかくこの試合に負けてしまったことが悔しかった。みんなといるときは平気だったけど、一人になるとまた涙が出そうだった。布団に入っても試合のことが思い出されて眠れなかった。試合後集合でみんなに切り替えようと言ったけど、私が一番切り替えられていなかった。もうあと少し、ほんの少しで大きな目標に手が届こうとしているのに、何かが足りなかった。何がダメだったのか、自分がもっとこうしていれば勝てたんじゃないのか、準備不足だったのではないか、ずっとぐるぐると考えていた。
人生でこんなに悔しい思いをしたのは初めてだった。心のどこかで「一部で戦える」ことに満足してしまっていた自分にみんなが喝を入れてくれたように思った。目標に手が届きそうな試合を2試合も見せてもらってやっと目が覚めたようだった。
今私たちは、たくさんの人に整えていただいた環境と、先輩方が築いて繋いできた伝統の上に立っている。その礎のまた上のところに、今の現役一人一人の努力を積んで、今まで見たことがない景色を見ようとしている。でもそこで終わりじゃなかった。ここから先、東大がもっともっと強いチームになるためにも今があったのだ。私たちが掲げる目標は、私たちが到達すべきゴールであり、これから先の東大が上に行くためのステップのひとつ。今までの道のりを振り返れば、今はかなり遠いところまで走ってきたように思えるけど、ここから先を見据えれば、まだまだゴールは遠く先にある。
私がすべきことは、この経験に満足せずにさらに上へ行けるように自分ができることを重ねることと、この先のホッケー部がもっと強くなるための土台となる足場を作ることだ。
引退まで残り一ヶ月を切って、今まで自分がやってきたことを振り返りたくなることも多いけど、そうではなくて前を向く。引退キリギリまで組織としてのホッケー部の運営に関わりたいし、スタッフからチームにどんなアプローチができるかもっと考えなければならない。先輩から教わったことを後輩に全部は伝えられていないし、もっと普段の練習を良くするためにできることはきっとある。
時間がないこと、今まで頑張ってきたことを言い訳にしないで、またゼロからスタートするまっさらな気持ちで。
残り3週間、残り2試合、一緒に闘いましょう。