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2016-10-13

正鵠

桑原 啓太

「徒然草」の中に次の一節がある。

…或人、弓射る事を習ふに、諸矢をたばさみて的に向ふ。師の云はく、「初心の人、二つの矢を持つ事なかれ。後の矢を頼みて、始めの矢に等閑の心あり。毎度、たゞ、得失なく、この一矢に定むべしと思へ」と云ふ。わづかに二つの矢、師の前にて一つをおろかにせんと思はんや。懈怠の心、みづから知らずといへども、師これを知る。この戒め、万事にわたるべし。…

後の矢が残っていることで、そう自覚していなくとも目の前の矢に集中しきれない、という説話である。この言葉は僕たちにも示唆を与えるものだ。

あと2か月もすれば最高学年になる。先のことについて考える必要はある。来年成し遂げたい目標もある。ただ、先があることに甘んじることは、現在における妥協を生み、この瞬間の成長を阻害する。

目の前にある日々を大切にしたい。毎回の練習だけではなく、勉学から食事に至るまで。生活のすべてがホッケーに繋がっている。

来月は負けられない試合が続く。試合に出るために質と量の伴った努力を毎日する。1部の舞台は自分の手で掴み取る。

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