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2016-09-30

最後へ

安原 正尭

春は何もできなかった。

後悔しかなかった。

多くのOBにチームが弱いのは選手層が薄いからだと指摘された。

経験がものをいう部分の大きいDFで、チームを下から支えるDFで、4年生でベンチ入りしているのは2人しかいないのにそれでも試合に出られない、自分のことを指しているのだと痛いほど感じた。

降格した悔しさより、チームにおける自分の存在の無意味さに泣いた。


自分を殺しすぎていた。うまくいかず、自信を失う中でチームのためと控えに甘んじた。試合に出るメンバーの練習時間を減らさないようにとか、いい練習相手になろうとかそんなことばかり考えていた。試合に出ている後輩へのアドバイスも自信を持たせるためと言ってただの肯定であることが多かった。

チームのために、が結局は逃げで、誰のためにもなっていなかった。





僕は運が良かった。

秋のシーズンが始まると、怪我人が増えて必然的に自分が練習試合に出る時間が増えた。
さらにDF陣の4年生の少なさという問題を解消するためにポジション変更をしたことで唯一ずっとDFにいる自分がリーダーシップを発揮しなくてはならない状況になった。
自然と自分が出せるようになった。

ホッケーがやっと、楽しくなった。


秋リーグが始まって2戦、先発で試合に出させてもらっている。
春に少しだけ試合に出た時とは全く違う心で試合に臨めている。
松岡の言うように応援したくなるような試合、プレーが他人から見てできているかどうかはわからないけれど、自分の中では必死に、それでいて楽しみながらホッケーをできている。

引退まではあと2か月になってしまった。
春の後悔を取り返すチャンスはもうあと一回しかない。
チームのために何もできなかった今までの借りを返したい。

最後まで楽しんで、笑って終わる。

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