UNIVERSITY OF TOKYO HOCKEY TEAM
東京大学運動会ホッケー部
Est. 1925
2021-11-19
最後の意地
石川 智規
「大学からホッケーを始めた初心者が、幼少期からホッケーをやってきたような経験者集団を倒す」
そんな目標に惹かれてこの部活に入り、1年のときは先輩たちが実際に一部で勝つ姿を目の当たりにして、2年のときには自分も出た試合で一部校から勝利を挙げた。
そんな環境にいたからか、下級生のときは当然のように一部でプレーする自分ばかり想像していた。
同期も人数が多く、一二年生試合でも一個上の代と互角にやれていたりして、自分達の代になったときにはかなり強いチームになるんじゃないか。推薦枠を減らしてる早稲田とかはワンチャン食えるんじゃないか。
そんなこともよく飯食いながら話してた。
しかし、現実はそんなに甘いものではなく、2019秋の入替戦で一橋に敗れ二部降格。
2020の代はコロナのせいで春秋ともに入替戦がなく、一部昇格のチャンスすらない。
自分たちの代で一部でプレーするための唯一の道は、2021春の入替戦で昇格することだったが、タスキ戦で立教にSO負けして入替戦にすら進めず。
インカレ本戦でも中京に負けて一回戦敗退。
自分たちの代で一部に勝つどころか、3年4年になってからは一部校と対戦することすらできていない。
悔しけどこれが現実。
一部でプレーしたいという想いはやっぱり大きくて、春のタスキ戦で負けたとき真っ先に感じたのは、もう自分は一部でプレーすることはないのか…という心のどこかがぽっかり空いたようなどうしようもない寂しさだった。
もちろん今もホッケーは楽しい。
楽しいけど、自分より全然上手い相手と対峙することで得られるヒリヒリ感、必死にくらいついていいディフェンスができたときの快感。
こういったのは一部でやってるときしか得られないものだし、2年のときと比べて、ストローク・レシーブ・視野あらゆる面で上手くなっていると思うからこそ、もう一回一部相手に試してみたかった。
そして何よりもう一度一部校に勝ちたかった。
2019春に駿河に勝ったけど、あの試合も坊主頭の10番にやられまくって、何とか足を引っ張らないようにすることで精一杯だったという感じで、勝った瞬間も「よっしゃ!」という喜びより「なんとか耐えた…」という安堵感の方が大きかった。
だからこそ、自分が確実に勝利に貢献したと胸を張って言えるような内容で一部に勝ちたかった。
自分たちの代で、自分たちが中心になって考えた戦術で、自分が活躍して勝つ。
そんな経験ができたらどんなに嬉しいだろうか。
どんなに心揺さぶられるだろうか。
想像を超えるような喜びや感動を体感したいというのが、ホッケーに向き合う一番の原動力となっていたし、
戦術理解度が高い選手でもないのに幹部になろうと思ったのも一番はBullions2021の中心でホッケーに携わりたかったから。
しかし、春のタスキ戦で負けたことによって、その目標はただの夢物語に終わってしまった。
上級生のときに一部でやれなかった喪失感はおそらくずっと心のどっかに残っていくのだと思う。
春の一部昇格が叶わず相変わらず二部でプレーすることになってしまったとはいえ、Bullions2021にはまだ秋リーグが残っているわけで、モチベーションが折れたとかはなく、プレーヤーとしても幹部としてもホッケーに対して全力で向き合っているつもりだ。
(立教に負けた後、FW陣が真っ先に課題を話し合って改善策を幹部に共有してくれて、すぐに次の目標に切り替えている姿をみて自分ももっと頑張らないとと思えました。ありがとう。)
一部で勝つという目標を失った今、代わりに自分を突き動かしてるのは、このままでは終われないという意地のようなものだと思う。
春うちが勝てなかった要因は誰がどう見ても得点力不足。そして得点力不足の最大の原因はPCの得点率の低さ。
立教も武蔵もPCを決め切れればSOにもつれるまでもなく勝てた試合だった。
特に武蔵戦は攻撃陣がめちゃくちゃPCを取ってきてくれたのに1本も決められなかった。
フリッカーでありPC班でもある自分の責任だし、沢山PCを取ってきてくれている前線の選手にはまじで申し訳ない。
筋トレとかフリック練、分析も春より力を入れているつもりだけど、結局秋でも同じようにPCを決め切れない試合もあり、「またかよ…」と思ってる人が多いかもしれないけど、引退する瞬間まで何とか足掻き続けます。
1フィールドプレーヤーとしても、2019の代の先輩方がメッセージカードに書いてくれた「右サイドを制圧できる選手」にも、自分が目標管理シートに書き続けている選手像にもまだまだたどり着けていない。
それに、強くなれると信じていた自分たちの代が、春二部3位で秋も一部に昇格できなかったしょぼい代として終わってしまうなんて悔しすぎる。
個人としてもチームとしても
このままで終わるわけにはいかない
思い描いていたものとは程遠い結果となってしまったけど、自分の4年間の成長を残り2試合にぶつけたい。特に3年4年での自分の成長をはっきりと示したい。
その意味で残り2試合の相手は格好の相手だと思う。
決勝は2019秋の入替で負けた一橋と、優勝すれば春負けた立教と入替戦で当たる。
自分がもっと前線に供給できたら勝てた一橋
自分が最後のPCで決め切れれば勝てた立教
どっちも一部でやりたいという想いを打ち砕かれ、なおかつ自分が力を発揮できなかった相手。
この二校相手にしっかり勝ち切って、せめてもの意地を見せてから引退したい。
以上が全くまとまってないけど今個人として率直に思っていることです。
次に折角副将という役職に就かせてもらっているので、チーム全体のことを。
幹部になって初めて、後輩の成長とかチーム全体の強化について真剣に考えるようになった。
「このチームは新しく試合に出るようになった選手がどこまで成長できるかにかかっている」
色々な人に言われてきた。
そうした課題に対して、幹部は練習メニュー・反省システムや、普段の会話とか練習中の声かけとか、あらゆる面からアプローチできる立場にある。
けど、そこに関してどこまで自分が貢献できたか正直自信がない。
課題を特定して、それを克服するための練習メニューを考えて、その意図を的確に伝えて、実際のプレーを見て修正点を指摘する。
その一つ一つが下級生のときに思っていたより何倍も難しかった。
自分の伝え方が下手くそで練習が微妙な感じになったことも何回もあるし、今も練習後の反省で的を得た指摘を出せているかわからない。
それでも「アイツ上手くなってきてるな」とか「この前のアドバイス活かしてくれてるな」と感じる瞬間はあって、それが自分のおかげではないとしても、ずっと期待していた分周りの成長を見るのはやっぱり嬉しい。
特に普段から熱心に練習してたやつが上手くなっているのをみると努力が報われてよかったなと心から思える。代表に呼んであげることは出来なくても上手くなってることはちゃんと分かってるし、今は試合に出れなくても今の努力は来年に絶対活きるからやり続けてほしい。
最後にBullionsについて。
これからの2戦は、誇張でも何でもなくBullionsの今後を大きく左右する試合だと思う。
自分たちの代は一部にいることが当たり前の状態からスタートして、一部校とも下級生のときから対戦することができ、一部校に勝つことも簡単ではないけど決して手の届かないものではないという認識をみんな持ってきたと思う。
でも今の1・2年生はそうではないし、3年生も一部校との試合に出たことのある選手はほとんどいない。
「一部の舞台でジャイアントキリングを起こす」という東大のアイデンティティをリアリティのある目標として継承していくためにも、この秋で絶対一部に上がっておく必要がある。
それが自分たちの代が果たすべき最低限の役割だ。
自分のことを振り返ってみても、Bullions2019で一部校のFWにボコボコにされながらも、試行錯誤を繰り返していくことで成長できたと思う。
一部校の選手とマッチアップするのはやっぱり楽しいし、レベルの高い相手とやりあえる環境に身を置くことで成長は加速すると思う。
下級生へ
この二試合を勝ち切って、Bullions2022には一部という最高にワクワクする舞台を残します。
一橋との試合、入替戦はそれぞれ独特の緊張感に包まれると思います。
この前のタスキ戦のように、ベンチからもスタンドからも全力で大きな声を送って欲しい。
声で僕たちを後押ししてください。
個人としても、ここ最近しょぼいプレーが続いているけど、まだまだ自分はこんなもんじゃないと思ってるし、もっともっとできると信じてる。
このチームとしてももっともっと強い姿を見せつけられるはず。
残り二試合、最高をみんなで更新していきましょう。