UNIVERSITY OF TOKYO HOCKEY TEAM
東京大学運動会ホッケー部
Est. 1925
2014-10-13
新しいこと
井上 薫
ホッケー部に入って、あのときもっとこうしていれば、と後悔することが増えた。今まで何事もなく平和に過ごしてきた私は、ホッケー部にいると気が滅入ることが多い。自分に足りないもの、能力をまざまざと見せつけられるからだ。
もっと自分がこうだったなら、こうできていれば、なんて自分はダメなんだろう。
毎部活で反省することが多々出てくる。けれど、現状に満足しやすい私は、それくらいのことがないと成長できないのだと思う。今まで目を背けてきた欠点と向き合うために落ち込むことは必要なんだろう。
最近の例でいえば、私が新たにもらった怪我人担当の仕事でのことだ。プレーヤー、マネージャー全員が書く勇言実行ボードに、私は「怪我人を減らす」と書いた。その直後に怪我人が一気に増えてしまった。タイミングが悪いと思った。
しかし、タイミングのせいではない。実際に私が怪我を防ぐためにできることは沢山あった。
もちろん、私がどう頑張っても防ぎきれない突発的な怪我もある。だけど、例えば疲労の蓄積からくる怪我は、もっとマッサージをみんなが受けられるように形を整えたり、強度の高い練習の時や疲労が見えた時に、疲労回復のための身体のケアのアドバイスをしていれば、防げたと思う。
突発的な怪我だって、初期治療をきちんとしていれば、もっと早く治って、再発しないなど後々の影響が少なかったかもしれない。
何もできていないなあ、と痛感した。
私は新しいことを始めるのが苦手である。だから、マネージャーに新たな仕事をつくることになった時、不安しかなかった。でも、私は自分を成長させるためにホッケー部に入ったのだから、頑張ろう。最初はそう思っていた。
しかし思うようにはいかず、1年弱経った今、どんな成果が得られたかといえば、テーピングなど今まで誰かがやっていたことを、自分もできるようになった、というだけだ。怪我人が出るまではそれでも満足していた。
私が新しいことを始めるのが苦手な理由は、考えを具体策にできないからだ。こうしたいなと思うことはあっても、ではそれを実現するためにはどうしたらいいか、と考えられない。
私は、もっとストレッチやマッサージをみんなに勧めたいし、みんなが気軽にやろうと思えるようにしていきたい。怪我した直後にきちんと休めば、治りも早くなると思っている。もっと体感や筋肉を鍛えれば怪我をすることも少なくなると思っている。怪我人のメニューも一緒に考えていきたい。
ただ全部、したい、思っている、だけで、具体的にどうするかと考え始めた途端に何も言えなくなる。これでは、形にするどころか、みんなと話して形を見出すこともできない。自分の意見が伝えられないのも具体的に話せないからだし、次第に向上心が薄れていくのも具体策が見つからないからだろう。
このままでは、せっかく与えられた仕事を何も形にできないまま終わってしまう。ホッケー部のマネージャーの転換期に、当事者としてこの部に所属しているのだから、ホッケー部にいる間にマネージャーの新たな形、怪我人管理という役職の形の道筋だけでもつけたい。
また思うだけにならないように、ここで勇言実行する。
まずは、勉強すること。怪我やマッサージについてはもちろん、スポーツ科学を勉強して、どのような身体作りをすればホッケーのパフォーマンスが向上するか考えられる知識の土台を作ること。
そして、知識を活かして実現可能な具体策を考えること。
最後に、考えを発信すること。一人だけでは考えに限界もあるし、独りよがりな考えを押し付ける訳にもいかない。みんなと話し合って、より実現できるように形を整えていくこと。
以上のことを来年の今頃には、達成できた、と胸を張って言えるようにしたい。
だから、今の四年生が引退されるまでに、今の怪我人のサポートをする。疲労回復や身体作りのためのストレッチを、最低二つはみんなに伝える。
これが私の勇言実行!