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2016-11-16

故事

須賀 謙次

「そんなのは絵に画いた餅だよ」

こんな故事から生まれた古い言葉の意味なんか分からない。

自分なりに解釈してみよう。

どんなに空腹でも絵の餅では満たされない。むしろ食欲が刺激されるだけ。そこから転じて無意味なもの、みたいなことだろうか。

いや、わざわざ作り出した言葉がそんな浅い意味な訳はない。別の考えが必要だ。

もしこの絵を描いたのが、ピカソだったら、雪舟だったら、絵の価値は計り知れないものがある。その見方からすれば、言葉の使い方は変わってくる。

「今の自分が描く未来に何の価値もない。しかし努力やきっかけがあれば、その価値は何倍にもなる。」

なんてすばらしい言葉だろう。

そう考えて、僕は今日も餅を画く。

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