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2023-10-23

先輩

内村拓人

東大は例年秋リーグに強くなる傾向にある。春にはバラバラだったみんながようやく同じ方向を向き始めるからだろう。試合の具体的な内容はともかく、結果だけ見ればプール戦一位通過。上出来だ。現状一年生が過半数を占めているこのチームでここまでこれたのも中々にすごいことに違いない。


 でもどうしても来年の春のことを考えてしまう。目の前のことだけにとりあえず集中しなさいという声も聞こえてきそうではあるが、春リーグにも強い東大を作りたい。順当に行けば来年も相当数の新入生を勧誘できるような気がしている。ともすると過半数どころか、「部のほとんど後輩」という状況が出来上がるだろう。そんな中で春から強いチームを作る。次の4年生、つまりは今の3年生の力がより一層試されることになる。


 いい先輩とはなんだろう。学生生活をかれこれ20年弱過ごしてきてはいるが、いろんな先輩を持った。優しい先輩、怖い先輩、厳しい先輩…ただ、考えてみればいい先輩だなと思う人は全員後輩への思いやりがある人だった。「飴と鞭の使い分け」のような発想ではない。そもそもそこに「飴」やら「鞭」やらはない。ただただ後輩のことを常に気にかけられる人、そして、後輩の心を自ずと開かせられる人だろう。今の3年生はそういった人にならないといけない。


 秋のリーグ戦はあと3試合。もちろん勝ちには拘るし、一部昇格も達成する。ただ、それ以外にも考えないといけないことがある事実に背を向けてはいけない。

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