UNIVERSITY OF TOKYO HOCKEY TEAM
東京大学運動会ホッケー部
Est. 1925
2018-04-17
僕らはいまの中で
岸野 真道
慣れないスティックとボールに苦戦しつつも、人生で初めて触れるホッケーを笑顔で楽しむ新入生たちを見るたび、入部宣言をした3年前の春を思い出す。この部活で過ごす日々が3年間でこんなに価値あるものになるとは、そして最後の春リーグをこんなに早く迎えるとは、思ってもいなかった。曲がりなりにも経験者として入部し、運動会で日々過ごすことに不安を抱きながらも、この部活ならきっと自分の望む何事も実現できると希望を持ち、ホッケーが楽しいという思いだけでここまでやってきた。だが、僕は入部してからまだ何事も成し遂げてはいない。
僕が入部してから二度目の一部昇格。それまでの道のりに僕は少しだけだが貢献できたように思う。それなのに自分の不甲斐なさへのもどかしい気持ちが収まらなかった。最上級生になり自分のことばかりに気を留めていられなくなった4年になっても、心にずっと引っかかっている「僕は何かを成し遂げたのだろうか」という気持ち。入部した頃の自分に言っても、きっと信じてはもらえないだろう。
新チームが始動して、東商戦があって、文句を言いながら雪かきをし、春の気配を感じながらひたすら試合を繰り返し、桜が咲き、気づいたら桜が散る春リーグの初戦を迎えた。一瞬のように思えたこれまでの道のりの中で、チームも、そして僕自身も地道に経験と自信を高めていけたのは間違いない。しかし、結果は惨敗だった。世の中そんなに甘くないと言ってしまえばそれだけなのかもしれない。だが、惜しかったとか健闘したとか周りが何と言おうと負けたことには違いない。今までに味わったことがない悔しさだけが残った。結局、僕はまだ何も成し遂げてはいないのだ。
「一部に勝つ」というのは僕が入部した頃からの目標だった。手が届きそうで、届かなかった目標。僕たちにはその歴史を変える権利を持っている、そして変える力があると僕は信じている。自分が4年になっても少しづつ上手くなっていくのは楽しい。一部校と戦うのはもっと楽しい。しかし楽しむこと以上に、最上級生になって余計に、一部で戦うということは責任が伴うものだと僕は思っている。目標を定め、覚悟したからには全力を尽くさなければならない。そこには過去を振り返っている暇は許されないだろう。
今はただ、信じて進み続けるしかない。進み続けた最後にやっと自分の4年間を振り返ったとき、何かを成し遂げたと僕は誇りを持って過去の自分に言えるだろうか。