UNIVERSITY OF TOKYO HOCKEY TEAM
東京大学運動会ホッケー部
Est. 1925
2014-06-11
もっと強く
大野 陽介
今年度のチームになるにあたり、立てた目標は“関東で1番強いGKになること”だった。
「上手くではなく、強くありたい。」
そういう思いを込めて目標にした。
「速さだけでは、長い距離を戦いぬくことはできない。天候、コース、レース展開、体調、自分の精神状態。そういういろんな要素を、冷静に分析し、苦しい展開でも粘って体をまえに運び続ける。長距離選手に必要なのは、本当の意味での強さだ。俺たちは、『強い』と称されることを誉れにして、毎日走るんだ」
“風が強く吹いている”という箱根駅伝を目指す大学生を描いた小説で、長距離ランナーに必要なことについて語られた一節である。
長距離選手にとっての強さ、これはホッケーのGKにおいても同じことが言えると思う。
ただ上手いだけでなく、どんな試合展開でも常に冷静に勇気を持ってプレーし続ける。
様々な状況を言い訳せずに受け入れて、最高の準備をして試合に取り組む。
これが僕の理想の姿でもあり、だからこそ目標にした。
どんどん上手くなっていくはずだった。
でも、やっぱり現実は甘くなくって、何度も壁にぶつかった。
特に、2月末に行われた天理合宿では、どんなに一生懸命練習に取り組んでも上手くいかず、むしろ下手になってるんじゃないかとさえ思った。
もっと強くならなきゃいけないのに、という焦りだけが募っていった。
疲労性の怪我もしてしまい、どうにもならなかった。
自分のことを信じてあげられなかった。
誰よりも、自分の良さも、良くないところも知ってるはずなのに。
そういった中で、励ましてくれる仲間がいて、ぶちまけた思いを聞いてくれ、自分の弱さを受け入れてくれるマネージャーやコーチさんがいて、何とか立て直すことができた。
今まで、弱さを見せないことが強さだと思ってたけど、しっかり自分の弱さに向き合ってそっから立ち上がることのほうが強いんだ、ってことに本当の意味で気づけた。
自分のことを信じてあげるような、『自信』をもつことも“強さ”だし、自分の弱さを然るべき人に見せることも“強さ”だと知った。
それこそ僕が求めてる強さのうちの一つだった。
そっから何度も壁にぶつかったけど、そのたびごとに乗り越えて、ここまで来れた。
今シーズン残された試合は、あと2試合。
一つは、2部優勝がかかった宿敵一橋との大一番。もう一つは、1部昇格がかかった今シーズン1番大事な入替戦だ。
緊張ももちろんあるが、それ以上に楽しみで仕方がない。
個人的に、3年となり部活だけに打ち込むわけにもいかず、学科の勉強も忙しく、学連での仕事もこなす必要があり、肉体的にも精神的にもしんどかった。
考えやすい性格で、こんなんじゃだめだ。こんなんじゃ勝てねーよ。と、自分に厳しく練習に励んでいた。
見かねたOBさんにいろいろ考えすぎじゃないか?と言われ、生意気にも、考えることがいっぱいあるんですよ。と毒づいたこともあった。(その節は本当に申し訳なかったです。)
でも、そろそろ頑張ってきた自分を、チームを信じてあげても良いんじゃないかな、と思えてきた。
最高の舞台で、大好きなホッケーをみんなで楽しみたい。
そう思えるようになった。
試合まで残された時間は少ない。
その中で、大事になってくるのは“気持ち”だと思う。
別に、気持ちの強い方が勝つっていう精神論を言いたいんじゃない。
例えば、一つのパスをとってみても、ただパスを出すのではなく、「このパスは絶対に通す」っていう強い気持ちを持って出すか。
ドリブルなら、「絶対に奪われないでゴールに繋げる」という強い気持ちを持ってドリブルするか。
プレーだけじゃなく、応援するにしても、「自分一人の応援じゃ何も変わらんだろ」と思いながら応援するのではなく、「自分の応援で味方に勇気を与えるんだ」と強い気持ちを持って応援するか。
メンバー数の多い僕たちが、これを70分間、チームの一人ひとりが実行したら、とてつもなく大きな力になると思う。
メンバーが多いから自分が少しサボっても大丈夫なんじゃないか、って思うのでなく、一人ひとりの本気を集めて大きな力に変えていきたい。
最後に、僕の勇言実行は、
実際の試合の中で、『チームの誰よりも勇気と自信をもって、堂々とプレーすること。』
その人にとって初めての決勝戦や入替戦でとても緊張するであろう選手にも、勇気と自信を分けてあげれるように、試合が終わる最後まで、強く意識して実行していくつもりだ。
それがチームにとって、絶対に力になるから。
学連をやっていて、本当にいろいろな人たちにお世話になっていることを教えてもらった。
ホッケー関係者だけでなく、最近では、学科の友だちも応援してくれるようになった。
僕たち東大ホッケー部に関わったり応援してくれる人たちに、どんな形であろうと、何とか勝利を届けたいし、楽しくホッケーをプレーできている感謝の気持ちを伝えたい。
試合に勝つことが応援してくれる人たちへの最高の恩返しになる、この状況に感謝して、目標達成のためにチーム全員で勝利を掴もう。