UNIVERSITY OF TOKYO HOCKEY TEAM
東京大学運動会ホッケー部
Est. 1925
2014-20-31
いつかエースに
布施 拓馬
来た!! 右サイドを走る僕に味方からロングパスが通る。絶好のカウンターチャンス! スピードに乗って駆け上がる。前に立ちはだかる相手は一人。右、左、そして右! 相手DFを巧みなステップで交わしスティックを一閃。僕のスティックから放たれたボールは飛び出した相手キーパの脇をすり抜けゴールポストをたたきそのままゴールの中へ。後半32分、一進一退の拮抗した試合での先制点。歓喜に沸くチームメイトと東大ベンチと喜びを爆発させる僕。。。。。。。
とてもベタで幼い妄想。だけどスポーツをする誰もが一度は夢見る光景。僕は隙あらばいつもこんな妄想にふけっている。もう20もすぎて何を考えているんだと我ながら恥ずかしく思うこともある。けどやめるつもりはない。きっとこの妄想を現実にするための手助けになると思っているから。
僕はこのホッケー部に入部するとき一つの目標を立てた。
自分がチームのエースになる。
自分のゴールで勝利に導くチームのエース、なんて格好いいんだろう。ゴールを決めた瞬間、どれだけ気持ちいいんだろう。なりたい、僕もなりたい。そんな単純なけれども確固たる思いで決めた目標である。
僕は入部してからこの目標を忘れて練習に臨んだことはないし、この目標をかなえるために毎日努力してきた。
けれどもまだまだこの目標への道は遠い。
客観的にみて僕はチームで下から数えた方が圧倒的に速いし、代表チームどころか育成チームでもレギュラーではなくましてやスーパーサブですらない。
先輩や同期を抜くどころかもう後輩にも抜かれてしまった気がする。
おかしいな、こんなはずじゃないな。どうして巧くならないんだろう。3ヶ月前の自分から何が成長したんだろう。周りのみんなは上手になっているのに….練習して少し手応えをつかんでも翌日にはもうできなくなっている、そんなことの繰り返し。巧くならない自分に焦りと怒りを感じながら練習する日々
でも目標は絶対変えない。
少しずつは近づいているし、巧くなっている。
エースになれないんじゃないか、それどころかスタメンですらないんじゃないか、ベンチ入りすらできないんじゃないか。
そんなことは考えるだけ無駄。今はただ地道に前向きに練習するだけ。
2年後ベンチ入りできずに外から応援するのか、ベンチに座っているのか、それともピッチの上でゴールを決め、夢をかなえているのか。それは今の自分の努力次第。だから僕は誰よりも練習し、もっと巧くなってそして早く代表チームに入る。
これが僕の有言実行。
公式戦特有の緊張感と高揚感のなかでゴールを決めたい、決めまくりたい。やるっきゃないさ。僕ならできる。