UNIVERSITY OF TOKYO HOCKEY TEAM
東京大学運動会ホッケー部
Est. 1925
2015-09-25
#19 響け
山本 悠策
これまでを思うと、辛いことが頭の大半を占める。
好きで始めたはずのフィールドホッケー。一目惚れだった。
それがいつの間にか、ホッケーが好きだ、ホッケーは楽しいと呪文のように唱えて向かうグラウンド。心は何度折れたろう。先輩には、もう辞めますとも言ってしまった。
それでも僕が今ここにいるのは、一年の頃に見た深澤さんたちの最高の「笑顔」があったからだろう。
4年生はかっこよかった。ヒーローだった。
そんな深澤さんの「お前たちは、俺らの代に似てるよな」という何気ない一言は本当に嬉しく、今日まで僕の背中を押し続けた。
そして気づけば今では僕たちが4年となり、引退まで約2ヶ月となった。
春リーグを終えた僕の姿は後輩にどう見えただろう。
周りには、よく練習を抜けてあの人はなんなんだと、そんな人が試合に出ていいのかと思う人はいただろう。春リーグではほとんど練習せずに試合だけ出ていたようなものだ。そんな奴がいいホッケーをできるわけがなかった。得点はたったの2点。かっこいいわけがなかった。
僕に嫌悪感を抱く人は少なくないだろうと思う。僕なら間違いなくそう思う。お前が頑張れとか言うなよと。
理想とはほど遠い。
だけど、もうしょうがない。開き直ったよ。
尊敬できるヒーローのようなプレイヤーは僕以外にたくさんいる。
そんな僕にとって「個が立つ」は目標達成の前提にして最大の難関。
ヒーローでなくとも、自立し、際立つ「個」を持たねばならない。
ポジションは深澤さんと同じ、FW。
確かにゴールを決めるのは気持ちいい。そりゃもう気持ちいい。間違いない。それこそがFWの存在意義だろうし。
でも、僕が一番好きなのは相手からボールを奪うこと。それは4年間変わらなかった。
相手ボールの時、どうしてやろうか考えてるのが楽しい。底辺で、まあ安全だろうと思ってた奴から奪う。楽しい。相手が焦り始める。最高。
75ydプレスとか楽しいし、パスカットからのカウンターなんてしてやったり感最高。入部当初から今でもSHを一番やりたいと思ってる、そんなFW。
一年の頃に思っていたFWとは大違い。
でもそれが僕だ。
相手からボールを奪い、ヒーローに渡す。
ヒーローの助けを借りて、ゴールを決める。
そして笑う。笑って終わる。それが僕の目標。