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2024-06-13

伝統

町塚広一

自分は去年入部した。そのとき一年生ではなかったから、一緒に入った新入生も含めて部員の人たちと仲良くやっていけるか心配だった。しかしその心配は杞憂に終わった。いろんな上級生の方が話しかけてくれて優しくしてくれたからだ。それだけでこの部活に入って本当によかったと思った。でもそれだけじゃなく、むしろそれ以上に、一緒に入った1年生もみんないい人たちでめちゃくちゃ感動した。というのも、上級生のみなさんのあたたかい雰囲気に惹かれて入ったので、上級生がみんな優しいのは正直想定内だった。それ以上に、1年生がみんな優しいことがいい意味で想定外だった。元々いた部員がみんないい人たちで新しく入った部員も全員いい人なら、ホッケー部には今までもこれからもいい人しかいないんだ。そう思って、ホッケー部のような組織が存在することに感嘆して、この部活があたたかい雰囲気であり続ける尊さに胸をうたれた。本当に去年の上級生や新入生には感謝しかない。


 そして1年が経って去年と立場が逆になり、ホッケー部の部員としてそして上級生として今度は自分が新しい1年生と接するときが来た。去年部員に優しくしてもらって本当に助かったし嬉しかったので、自分も同様に、いやそれ以上にあたたかい存在でいたい。去年そうしてもらった分、今度は自分が後輩に返す番だと思っている。去年の自分のように、今年の新入生も居心地良く感じられる助けに自分がなれたら願ったり叶ったりだ。


 部に昔からずっといい人しかいなかっただろうことを考えると、きっと先輩やOBの方々もこうやって自分がしてもらったことを後輩に返していって、あたたかいホッケー部を何十年と先輩から後輩に受け継いできたんだろうと思う。そしてこうして綿々と繋がれてきた鎖のようなものを伝統というんだろう。そう考えると、自分がその伝統の一部であって、この伝統を次に後輩に引き継いでいかなくてはならないという責任を感じるとともに、改めてホッケー部の一員になれた幸せを実感する。

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